製品アーキテクチャと組織能力

アーキテクチャ(システムの設計思想)を創造するのが開発、媒体(素材)に転写するのが生産、顧客に発信するのが販売であす。媒体が有形であれば製造業、無形であればサービス業となる。
アーキテクチャは機能設計と構造設計からなるが、一対一で対応しているのをモジュラー(組み合わせ)型、複雑に対応しているものをインテグラル(すり合わせ)型と呼ぶ。またそれぞれがクローズド(社内で完結)とオープンに分かれる。
1.クローズドインテグラル 自動車
2.クローズドモジュラー メインフレーム、工作機械、レゴ
3.オープンインテグラル 実現が難しい  
4.オープンモジュラー パソコン、ソフトウェア、インターネット、金融商品、自転車
また、競争力はものづくりの組織能力、裏の競争力(生産性など)、表の競争力(価格設定、マーケティングなど)、収益力の4つに分解できる。
インテグラル型は組織能力、裏の競争力、チームワークが重要であり、日本が得手としている。(「能力構築競争」参照)モジュラー型は表の競争力、収益力、事前の構想力が重要であり、米国、中国、韓国が得手としている。媒体への転写が難しいものはインテグラル型が向いている。同じモジュラー型でも、米国は知識集約的、中国は労働集約的、韓国は資本集約的と性格が異なる。
モジュラー型企業といえども、組織能力、裏の競争力は必要である。米国自動車産業は日本のセダン系に学び、トラック系で成功した。またインテグラル型企業はモジュラー型製品では過剰設計に陥りやすい。

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先ず機能と構造の対応をきちんと理解することが難しい。ソフトウェアやインターネットは自転車と一緒であり、マクロにはオープンモジュラーであろう。しかしミクロにはやはりクローズドインテグラルな部分もある。しかしインテグラルになり過ぎて過剰設計になっている部分はないか。過剰設計はビジネスのスピード感を奪う。早速レビューをしなければならない。
参考
放送大学学園 イノベーション論 藤本隆宏講師

能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 中公新書

能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 中公新書